【子育て世代のサイドFIRE戦略】「誤りの余地」がない計画は、暴落と教育費で崩壊する
かつて私も、サイドFIREという言葉に夢を見ていました。
- 「早く仕事を辞めて楽になりたい」
- 「嫌な上司と顔を合わせたくない」
その一心で、何度もシミュレーションツールを叩き、皮算用をしたこともあります。
しかし、計算すればするほど、ある「違和感」に気づいてしまったのです。
エクセル上の数字は合っていても、現実の人生には予期せぬ「ノイズ」が入ることに。

『生活費の半分は株、残りはパート』…って、それ本当に『自立』か?
株が暴落したら俺たちどうなる?
今日は、ちまたで流行る「ゆるふわサイドFIRE」への疑問と、私がたどり着いた「今はあえて何も名乗らず、誤りの余地を持って地道に働く」という結論についてお話しします。
そもそも「経済的自立」のハードルを下げすぎていないか?
世間一般で言われるサイドFIREの定義はこうです。
「基礎生活費の半分を資産所得、もう半分を労働所得で賄う状態」
これを聞いて「それなら自分にもできそうだ!」「目標金額が半分で済む!」と飛びつく人が多いですが、私はここで立ち止まりました。
ハードルを下げることは、同時に「安全性」も下げていることに他ならないからです。

働かないと家賃も払えないなら、それは『自立』じゃありません。
ただの『資産持ちの労働者』です
私が考える「経済的自立」の定義はもっとシビアです。
- フルFIRE
➡️ 資産所得で「基礎生活費 + 娯楽費」全てを賄う。相場がどうあれ、生活は揺るがない完全なる自由。 - 真のサイドFIRE
➡️ 資産所得で「基礎生活費(命綱)」を賄い、労働で「娯楽」を稼ぐ。嫌な仕事はいつでも辞められ、働くこと自体が趣味になる状態。 - 自称サイドFIRE
➡️ 資産で生活費の一部を賄うが、労働を辞めると生活が破綻する。資産があるがゆえに労働の手を緩めてしまい、逆にリスクに対して脆弱になっている状態。
私は、2番の「真のサイドFIRE」でなければ、FIRE(Financial Independence)という言葉を使うべきではないと考えました。
中途半端な状態で「自立した」と錯覚することは、嵐の海に小舟で漕ぎ出すようなものです。
私が欲しいのはFIREではなく「誤りの余地」

なぜ私がここまで「基礎生活費の自立」にこだわるのか。
それは、人生設計において「誤りの余地(Margin of Safety)」を何よりも重視しているからです。
ベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットが投資において重視するこの概念は、私たちの人生設計にもそのまま当てはまります。
計算通りにいかないことが起きた時、私たちを守ってくれるのは「ギリギリの計算」ではなく「余白」です。
「市場に身を委ねる」という精神的拷問

資産依存型の生活は、市場の相場に自分の命運を委ねる行為です。
市場は自分では1ミリもコントロールできません。リーマンショックのような暴落がいつ来るか、誰にも予測できませんし、それが何年続くかもわかりません。
毎朝起きて、NYダウの終値をチェックし、「あぁ、今月は資産が減った。
食費を削らなきゃ…」と一喜一憂する生活。
それは自由などではなく、チャートという新たな支配者に縛られているだけではないでしょうか。

自分の命綱を、コントロール不能な市場に全振りする。
私はその恐怖に精神的に耐えられません。
だからこそ、私は「労働」という最強の保険を手放しません。
労働は「苦役」ではなく「リスクヘッジ」

私にとって労働は、お金を稼ぐ手段である以上に、人生のリスクヘッジ(保険)です。
人的資本(働く力)は、金融資本とは異なる動きをするため、分散投資の観点からも非常に優秀です。
- もし、株が大暴落したら?
➡️ 労働収入があるから、資産を取り崩さずに済み、生活は揺らがない。市場が回復するまでじっと待つことができる。 - もし、年金が足りなかったら?
➡️ 長く働くスキルや健康を維持していれば、不足分を補填できる。定年という概念をなくせば老後不安は消える。 - もし、インフレで物価が上がったら?
➡️ 賃金も遅れて上がる可能性が高いし、自分のスキルアップで稼ぐ力を調整できる。

『働きたくない』じゃなくて、『いざとなったら働ける』ことが安心感になるのね

そう。
暴落しても『労働』という保険があるから、夜も眠れるんだ
崩壊する「カツカツのサイドFIRE」
一方で、「基礎生活費の半分を資産、半分を労働」でカツカツに賄っている場合、この「誤りの余地」がゼロです。
順調な時はいいですが、一度歯車が狂うと、ドミノ倒しのように生活が崩壊します。

暴落して配当が減った!でも生活費は削れない!
しかも不況で会社の業績も悪化して、ボーナスがカットされた…!
転職しようにも求人がない…詰んだ
市場が暴落している時、世間は不況です。
これは歴史が証明しています。株価が下がるとき、企業業績も悪化し、労働環境は厳しくなります。
残業代は消え、リストラの恐怖が忍び寄り、転職市場は買い手市場になります。
つまり、このスタイルのサイドFIREは、「資産収入の減少」と「労働収入の危機」というダブルパンチを同時に食らう構造になっているのです。
絶対に削れないコスト(家賃、ローン、子供の学費)を抱えながら、防御力ゼロの状態でこの複合リスクに立ち向かうのは、勇敢ではなく無謀です。
私はそんな、薄氷の上を歩くような人生は送りたくないのです。
現実解:基本は「子供の独立」までホールド。でも正直迷っています

では、具体的にいつまで働くのか?
私の現在の戦略(基本シナリオ)はこうです。
基本シナリオ:子供が巣立つまでは「誤りの余地」を最大化する
子供が大学を卒業するまでは、教育費などで基礎生活費が高止まりします。
だから基本的には、この期間は労働収入で基礎生活費を完全に賄い、余剰資金を淡々と投資に回します。
そして、子供が独立して支出がガクンと下がった時。 その時こそが、約束された勝負の時です。

『子供が巣立てば自由』
最低でもこのゴールが見えていれば頑張れます。
理想シナリオ:もし可能なら「前倒し」したい(悩み中)
とはいえ、人間だもの。本音を言えば「もっと早く楽になりたい」という気持ちもあります。
もし相場が好調で、想定以上のペースで資産が増えたら?
子供がまだ家にいても、どこかのタイミングで労働時間を減らして(ダウンシフトして)もいいのではないか?

でも、いくらあったら前倒ししていいんだ?

難しいわね。
早まって『やっぱりお金足りない』は嫌だし…
「資産がいくらになったら、子育て中でもGOサインを出せるのか?」 正直、この基準はまだ自分の中で明確になっていません。
教育費のブレ幅、物価上昇、将来の不確定要素…。
これらを飲み込んだ上で「絶対に大丈夫(誤りの余地がある)」と言える金額はいくらなのか。
今はまだ、その答えを探して悩んでいる途中です。
まとめ:正解がなくても、足場さえあれば歩き出せる

今はSNSで「入金力〇〇万!」「30代でサイドFIRE!」という言葉が踊っています。
でも、焦る必要はありません。 私のように「基本は定年(子供独立)まで働く覚悟」を持ちつつ、「チャンスがあれば前倒ししたいな」と淡い期待を持って生きるのも、立派な戦略です。

『いくらで辞める』は未定だけど、『巣立てば自由』は確定だな

そう。
あとは走りながら『前倒しチャンス』を狙えばいいのよ
私はダウンシフトをおすすめもしないし、安易なサイドFIREも否定します。
ただ、「自分の命綱(生活費)は、自分でコントロールできる範囲(労働)で賄う」。
この鉄則を守りながら、虎視眈々と「その時」を待つのが、今の私にとっての最適解です。
あなたは、市場に運命を委ねますか?
それとも、悩みながらも自らの手で「誤りの余地」を作りますか?
